もしこの時 、この角を曲がらなかったら。
50mほど進んだ所で、ウイグルの音楽が聞こえている。これは、スピーカからの音ではない。生だ! ぞくぞくする。
その音がする家をのぞくと、「入れ」といわれる。何ということだ!
土間の先の桟敷で、3人の男が演奏している。真ん中の人がバイオリン、右がドゥタールの仲間の撥弦楽器、もう一人は、タンバリンをもって踊っている。
演奏は、延々、20分ほどインプロでつづく。もちろん、ビデオは撮りっぱなしである。
どういう機会で演奏しているのかまったく見当がつかないが、音を聞きつけてか、10人ほどの男達が土間に集まっていっしょに聞いている。
テープの消費が気持になるが、最後まで録るのが礼儀だろうし、完全な記録として残したくもあった。
とにかく、満ち足りた気持ちで感謝の意をあらわし、この家を後にした。もし、あのとき、小路に入らなかったとしたら、このすばらしい場面には出会わなかったはずだ。カシュガルまで来た甲斐があった。 |