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デジタルビデオと行くシルクロード
28、クチャからコルラへ
あらかじめ 時刻も調べずに適当にバスターミナルに行くのだから、のんきなものです。
9時すぎにいったら、9時半にある、となっている。さっそくキップを買って、止まっているバスに乗り込むが、9分方乗っている。いい席がうまっていて、いちばんうしろの座席にする。
時刻になっているし、もう客も集まっているのだから発車してもよさそうなのに、一向に動かない。
写真1
一番後ろの席はなんと6人がけ。通路にも長い脚立のような椅子が置かれて人を座らせます。「詰め込めるだけ詰め込む」という作戦。

ごっつい車掌が 検札して、キップを持っていない客から現金を預かって窓口でキップを買ってきてわたす、という動作を繰り返している。何度も私の方を見て、「おまえは検札したよな」という顔をする。
そろそろ、というとき、前の方でウイグル語の口論が始まる。5分くらいつづいたか。もううんざり。

写真2
遠くに小さな竜巻が。
 

かなり心許ない 古さのバスである。かれこれ1時間して発車したが、その加速の元気なさに、不安になってくる。これで定刻までにコルラにつけるかしら。それから、トルファン行きの列車に乗るのだけど。
車掌は、結構権限を持っていて、若い乗客に「君は補助席に行きなさい」といって、老人や婦人にいい座席をあたえる。若者はすなおに通路に出て、脚立のベンチの「補助席」に座る。立つよりいいかもしれないが、木のベンチに5時間ではつらいものがある。


15分ほど走って止る 。また口論がおきて、その客を降ろそうとう訳だ。ところが、男は頑として降りない。ほかの乗客が胸ぐらをつかんで下ろそうとするのだけど、だめ。10分ほど喧嘩ストップして、結局乗せたまま発車。時間の浪費だ。

道は 、あいかわらず天山山脈の裾野をひた走り、単調で交通量が増えてきただけ路面がいたんでいる。そして暑い。


私は 、なんども地球を見て、地図と、280kmという距離と、推定走行速度からコルラ着を予測するが、はかばかしくない。幸い、エンジントラブルは1回、15分くらいのロスですんだ。
砂漠の中で「デラックスマイクロバス」が故障して、乗客が車外に出ている。どうやら、見込みが無いらしい。
このバスに乗り換えようと頼み込んできたが、結局誰も乗せなかった。ああゆう目に会うと大変だろうなあ。天山の麓にはっきり竜巻が見えた。
  写真3
バスが休憩するときはこうやって物売りがやってきます。

シルクロード沿線は 、どこでも「宿場」が多い。ラクダ時代からの伝統で、これで旅人の便をはかって生業(なりわい)としてきたのであろう。
宿場には、バラックの食堂と旅社と呼ばれるモーテル、そして車の修理屋がある。飲み物の自動販売機は絶対にない。


とにかく 、走るトラックはオンボロで、かつ酷使されているので、あっちでもこっちでもボンネットを開けて修理している。でも、大抵は運転手がなおしてしまうところがすごい。
もし、道中の水のある所に1つだけ、日本の高速道路のサービスエリアと同じ物をつくったらはやるだろうか、と俗なことを考えてしまう。いけない、いけない。

左に 建設中の線路が見え始めて1時間くらいでコルラ着。この線路は、最後はカシュガルに通じるのだろう。そうすると、物資輸送はオンボロトラックに頼らなくてもよくなるから、格段に経済交流が進むであろう。それは、はたして彼らにとって幸せをもたらすのだろうか。
コルラ着。地球では、コルラ駅がどこか載っていないので、しかたなくタクシーにのる。地球では、発車時刻が18時台になっているので、急がなければ。
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