かなり心許ない 古さのバスである。かれこれ1時間して発車したが、その加速の元気なさに、不安になってくる。これで定刻までにコルラにつけるかしら。それから、トルファン行きの列車に乗るのだけど。 車掌は、結構権限を持っていて、若い乗客に「君は補助席に行きなさい」といって、老人や婦人にいい座席をあたえる。若者はすなおに通路に出て、脚立のベンチの「補助席」に座る。立つよりいいかもしれないが、木のベンチに5時間ではつらいものがある。
15分ほど走って止る 。また口論がおきて、その客を降ろそうとう訳だ。ところが、男は頑として降りない。ほかの乗客が胸ぐらをつかんで下ろそうとするのだけど、だめ。10分ほど喧嘩ストップして、結局乗せたまま発車。時間の浪費だ。
道は 、あいかわらず天山山脈の裾野をひた走り、単調で交通量が増えてきただけ路面がいたんでいる。そして暑い。
シルクロード沿線は 、どこでも「宿場」が多い。ラクダ時代からの伝統で、これで旅人の便をはかって生業(なりわい)としてきたのであろう。 宿場には、バラックの食堂と旅社と呼ばれるモーテル、そして車の修理屋がある。飲み物の自動販売機は絶対にない。