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54a 【プロヴァンス鉄道の1日】 前編
 プロヴァンス鉄道は、Nice-Entrevaux間だけ往復したことがあるのですが、この 間は大糸線の白馬以北のように谷底を走るので、あまり高原鉄道の雰囲気はあり ません。 それにくらべるとAnnot付近はループトンネルがあったりして、興味が湧いてき ます。エクスからニースへのアプローチとしては、高速A8経由のバスというの もあるけど、ちょっと味気ない。 
 さて、ディーニュからニースへの直通は1日に4便。アンティーブで19h00に rendez-vousをセットしたので、ニース着17h15 (ディーニュ発 13h58)の第3 便が事実上最終となる。 ディーニュを初発の7h00に乗ると7時間、第2便の10h33発に乗ると3時間半が 途中下車してつかえる余裕時間となる。 
 ところが7時の初発に乗るには、前夜のうちにディーニュに移動しておかねばな らない。そのつもりで、エクスのバスターミナルの下見までしたのだが、当日の 朝になって、「航空券の引取り」、「コインランドリー」、「サイクリングをし て疲れた状態」などを考え、もう一泊して早朝のバスで立つことに変更した。つ まり、この時点で途中下車で使える時間は3時間半になってしまった。 
 ホテルをチェックアウトしたのが6h30。外は真っ暗ですが、カフェは開いてい て、客がいます。 ターミナルに着いたのが6h50。ディーニュ方面行きのバスは7h20ころにある、と 私の古い時刻表にはありました。 
 下見していた発車番線に行くとちょうど入ってくるバスが。行き先を見るとはっ きりDIGNEと書いてあります。おお、ラッキー! 10h30につけばいいのだから、 いくら迂回の鈍行でもこれに乗ってまちがいないべ。 荷物を床下のトランクにいれて乗ろうとすると、一番前の座席の男が「どこへ行 く?」と聞く。
   「ディーニュ」と答えると、「オフィスへ行ってキップを買ってこい」という。 オフィスまで走る。一番前の席の男は車掌のようだ。 7h00発のこのバスは、6h55には出てしまう。私は運がいい。フランスでは、郊外 バスは概してこのような新しくて快適な車体をつかっている。 
 一部高速に乗りながら北上、通勤時間なので、あちこちで停車して客を乗せたり 降ろしたりで、デュランス川にそってすすむ。途中で壮大な日の出を迎える。 あるバス停で待っている一団にきわだって若くてきれいな子がいるので、注目し ていたら、よりによって彼女が運転手にチューしやがる。なんだ! 
すこしずつ山になってきて、ディーニュにつく。山が迫ってきている谷底の町 だ。
 駅はどこか、ととまどうが、800mほど戻った所のちょっと高い所にある。ここで は、私鉄(プロヴァンス鉄道)と国鉄(SNCF)が同じ駅を使っていて、地図 で見ると線路はY字型に折り返している。 時間に余裕があったので、駅前カフェでクロワッサンを食べたり、写真を撮った りする。 
 気動車は山の中に入り、St.Andre-les-Alps で対行とすれちがう。10分弱待た された。この鉄道、意外な高速でぶっとばすし、乗降客のいない駅は通過するの で、乗降客の多い時は確実にダイヤより遅れてしまう。おまけに、顔見知りのお ばさんは乗り際に運転手にチューするんだから、もう、どうなってんだ。 
 このあたりから Annot あたりまでが高原地帯の様相で、牧草地の後ろに岩山が 迫る。 Annot を出て、なつかしい Entreveaux に停車。 さて、わたしが3時間半の途中下車駅に選んだ Puget-Thenier は次だ。通過さ れると困るので、一応、運転手に告げておく。
 
St.Andres-des-Alps の駅で。ここですれ違います。

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