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【9】 オーベルジュ・ドゥ・ラ・リューブ
 山奥の村、ビュース(Buoux)にあるモーリスの店、オーベルジュ・ドゥ・ラ・リューブ Auberge de la Lube は「プロヴァンスの12ヶ月」で有名になり、ついでにBSの番組では千乃嬢が食事をし、そのあと馬車に乗せてもらっている。 
「6月になったらもう一度おいで。ラベンダーの紫は君によく似合うよ」 「私はちょっとふらっとしてしまいました 
 久保田さんのおすすめもあり、民宿の奥さんに予約を入れてもらって Auberge de la Lube で夕食にする。ここは、民宿から歩いてなら7分くらい。でも、夜は真っ暗なので車で出かける。 
 前菜は、BSの番組でも紹介されているとおり、プレートにたくさん(番組では14といっていた)の小皿、小壺が出てくる。 パテ、つけもの、野菜、小魚、ドレッシング、タコ、豆など、「山海の珍味」が揃っている。味は、しつこいくせがない。久保田さんのすすめもあり、飲み物はシャトーヌフの赤。ハーフボトルを全部空けることが出来ない私です。
 メインは鳥の料理。ニワトリではないのだが、どんな鳥なのか忘れた。というか、メニューが十分に解読できなかった。しかし、この選択は「あたり」で、とにかくデリケートな味は日本人にもよくあっていた。デザートとチーズが選択式ではなく、デフォルトで決まっていたのが助かった。

客は、私を入れて3組だけだったせいか、モーリスはキッチンから出てきて、1組の客としゃべってばかりいた。
  それにしてもすごいなまりだ。 たべきれないチーズをつつんでもらって、そろそろいおいとまだ。 でも、せっかくここまで来たんだから、モーリスと話しをしておかねば。

S 「このお店が日本のテレビに出たのは知っていますよね。わたしはその番組が好きで、録画を何回も繰り返して見ているんですよ」
M 「そう、あれはきれいな番組でした。わたしはビデオテープをもらって、もっていますよ」 
S 「えっ、テープを持っているんですか。ところで、彼女はもう一度来ましたか?」

と、わたしは「ちょっとふらっとしてしまいました」を思い出しながら言った。 

M 「いいえ。来ませんね」
S 「今頃、東京にいるんでしょうね」
M 「彼女はとてもサンパで、きれいでした」
S 「そう、きれいでしたね」 
と、日・仏のオジサンは、ひとりの女性を介して意気投合し、固く握手を交わしたのでした。

 それにしても、NHKがフランスのTV方式に変換してまでしてテープを渡したとは、ちょっと意外だった。では、ごちそう様でした。おやすみなさい。

 
私達から注文を取るモーリス (97-9-17撮影)
レストランの入り口

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