前へ  次へ  目次へ  ホーム

57 初めて乗ったTER2Nは ・・・
 マルセーユ・サンシャルル駅、朝9時45分。ツーロン行きの各停はCホームから。
あっ、2階建て新型のTER2Nだ。おじさんは、さっそく外観写真を撮ってから乗り込みます。 
うーん、どうせなら2階席にしたいなあ。1等か。ホームへ下りて駅員に聞きます。 
「2等切符を買ったのですが1等に乗れますか?」
「車内で差額清算すればいいですよ」 

 1ユニットだけ、つまり2両編成の列車はかなりの乗車率で定刻発車。とくに2階はモーターの音もせず、すべるようです。 ツーロンまでの切符を1等にアップグレード。車掌はJRのようなハイテクな発券装置をもっていないので、手計算での清算にずいぶん手間取ります。 
 ラ・シオタ(La Ciotat) で途中下車。町と港は国鉄駅からかな
り離れており、ローカルバスがつないでいます。 さて、港と旧市街を楽しんだ後、12時45分ころにまた駅に戻ります。
今日は臨時列車が運転されるのか、ツーロン行きの各停はいつもより20分遅い時刻の運転です。(時刻表にも記載されています。) 
 列車はその遅い時刻通りに到着、そして発車。またしてもTER2Nです。わたしはすかさず2階の1等席に行きます。今度は、3ユニット(6両)の大編成なので、がらがら状態です。 

 さて、次のSt.Cyr-les-Lecq.la-Cad.駅(おおい、なんていう名前なんだ!)に着いて、発車。 
ん? コツンコツンと10回ほどいって、うんともすんとも言わなくなりました。直観的に「故障?」と思います。症状としては、ブレーキが解除できないみたい。 

 そのまま15分ほどアナウンスもなく停車。
やっとアナウンスがあるのですが、「なにか情報がありましたら、お知らせします。」という最後部分しか理解できません。(私のフランス語力は、この程度。) 
 この区間は結構な密度でダイヤが組まれているので、後ろに何本かつかえているのは明白です。そのうち扉が開いて、「困ったもんだなあ」といった乗客がホームに下りてタバコを吸ったりしています。(冷房が入っていないので、車内は暑かった。空は南仏晴 れ)
    ホームを歩いて運転席の方へ行くと、扉を開けた状態で中が見えます。(暑いので扉を開けてある。)
若い運転士がマニュアルを見ながら、スイッチボードを操作しているのですが、ふてくされた表情です。きっと「だれだ、こんなヘボい電車をつくったやつは」と思っているのでしょう。ま、「新製品」にはつきものの現象ですが。ついにタバコを吸い始める始末。

 というわけで、東行き線路を40分も塞ぐのは影響が大きくなリます。(ここは退避線もポイントもない、ただの停車場形式の駅です。) 
 そのうちに駅のアナウンス。「救援列車」という言葉しか理解出来ません。でも、乗客は全員荷物を持って下り、地下道をくぐって西行きホームに移動します。自転車も2、3台あります。もちろん、私もならいます。 
 西行きホームに後続の東行き列車が来るんですね。これが、SNCFのいいところ。JRなら、中央線など上りが止まればすぐに下りも止まります。 
 間もなくでリヨン発ニース行きの長距離列車が臨時停車してくれました。この列車は、信号停車で待たされたあげくに、ツーロンまで各停にさせられ、本来の乗客はいい迷惑です。 で、この列車は次の Bandol 駅まで西行き線路を逆走します。こういう時って、機関士は対向列車が来るのではないか、と気が気ではないでしょうね。 
 列車は、Bandolのホームを出たところのポイントでようやく本来の東行き線路に戻ります。案の定、そこには西行きの長距離列車が(待ちくたびれた顔をして)信号待ちをしていました。そのあと、しばらくするとTGVにすれ違いましたから、これも故障の影響を受けたのでしょうね。
さらにそのあと、電気機関車に出会いました。これこそ、ツーロンから出向いた救援機関車でしょうね。 
 というわけで、私は予定よりだいぶ遅れてツーロンに降りたのですが、サン・トロペ行きのバスは2本は見逃したことになります。とんだ初乗りTER2Nでした。

 さて、いざ今夜の泊地 Le Lavandou へ!

 (Le Lavandou は、ツーロンとサン・トロペの間の、列車の通わない港町)

 
動かなくなったTER2N
La Ciotat の港

   前へ  次へ  目次へ  ホーム